| 単弁瓦当 |
| 《単弁の出現》 640年前後に出現したと思われる「単弁」は、それ以前に見られる瓦当文様とは違い、一見二重に見える「子葉」を持ちます。 この単弁蓮華紋に相当する紋様は大陸では見当たらないものの、仏像の光背や台座(蓮華座)等では、古代日本でも大陸の壁画にも表されている事、また製作技術では前代までを踏襲している事等から、仏教美術の影響を受けて古代日本で独自に、瓦当紋様として創案され、発展したと言われています。 《木之本廃寺式(吉備池廃寺式)と山田寺式》
瓦当紋様の先後を推定する場合、紋様に丸みを帯びているものが後出だとされるようです。(すいません。詳しい根拠はわかりません。^^;)このことから、吉備池廃寺式(木之本廃寺式)軒丸瓦は、山田寺式軒丸瓦より、先出だとされていました。 また、山田寺式にも吉備池廃寺式にも組み合う軒平瓦があります。(木之本廃寺出土軒瓦/旧飛鳥資料館サイト) 資料館の画像を見ていただくと、軒平瓦の重弧紋のバックにクローバーのような形が、目にとまると思います。これは、スタンプ紋(手押忍冬紋・テオシニンドウモン)と言って法隆寺の若草伽藍出土軒平瓦に施されていたものと同じものになります。 どういう経緯で、二つの紋様が一枚の軒平に施される事になったのかは、分りませんが、おおよそ600年代初めに現れたとされている若草伽藍使用のスタンプ紋の上に、641年建立の山田寺と同様の紋様を刻んだ軒平を持つ、木之本廃寺式の軒平瓦。 吉備池廃寺式軒瓦の出土した木之本廃寺跡(橿原市木之本町)は、吉備池廃寺跡(キビイケハイジアト・桜井市吉備)とともに、百済大寺跡ではないかといわれていました。発掘調査の結果、吉備池廃寺の方から九重塔に相応しいと思われる一辺30mにも及ぶ壮大な基壇が発見され、現在は吉備池廃が百済大寺跡で、木之本廃寺が瓦窯跡ではないかと言われるに至っているようです。 ・・・”木之本廃寺式”と”吉備池廃寺式”は、同一紋様の瓦当形式をさすものだと思われます。・・・ 百済大寺は、日本書紀・舒明天皇の条に、「今年、大宮と大寺を作らせる」と記載のある古代日本最初の官寺になり、これによると建立は639年、山田寺の641年より数年先行して建てられ始めた事になります。 ここで 「若草カ伽藍(スタンプ紋軒平瓦)」→「百済大寺(吉備池廃寺式軒丸瓦・軒平瓦)」→「山田寺式軒瓦」 と言う図式が成立することになります。 推定された瓦当紋様の先後が、発掘調査によって裏付けられたと言える事例なのかもしれません。 …参考までに「瓦当紋様出現年表」をどうぞ♪ 《坂田寺式》 参考画像:坂田寺出土軒瓦/旧飛鳥資料館サイト 吉備池廃寺式と同年代、もしくは少し先立って現れたのではないかと言われているのが「坂田寺」出土の単弁蓮華紋になります。 同じく二重構造の花弁を持ちますが、吉備池廃寺式や山田寺式のように、花弁周囲に線による縁取りがなく、少し肉厚でポッテリとした感じがあり、蓮弁内での子葉の占める割合も大きくなっています。大元は同じく仏教美術であろうといわれていますが、前者のものとは、別に創案されたのではないかといわれています。 吉備池廃寺式に始まったとされる単弁瓦当は、640年代中頃から、「重圏紋縁蓮華紋軒丸瓦と重弧紋軒平瓦」をセットとする「山田寺式」として確立していったと考えられます。 《吉備池廃寺式式の伝播》 木之本廃寺式は、大和の木之本廃寺跡・吉備池廃寺跡以外に、その同笵品が大阪・四天王寺と泉南・海会寺跡から出土しています。瓦笵は、木之本廃寺・吉備池廃寺→四天王寺→海会寺と移った推定されて、全て七世紀中頃から後半に着工されたと考えられています。 ・四天王寺
・海会寺
《山田寺式の伝播と紋様変換》 吉備池廃寺式の弁端のトンガリが消滅して、山田寺式となった後の単弁は、七世紀も終盤から各地で使用され始めたようです。
《主な山田寺式の系列》(イラストはかなり誇張してあります。(^^ゞ)
また、中房や蓮弁・間弁などの輪郭線が消え柔らかくぽってりとした感じに変化し、坂田寺の単弁蓮華紋軒丸瓦(参考画像:旧飛鳥資料館サイト)にも似た龍角寺出土品(千葉県印旛群))も山田寺式に含まれるようです。 外縁や単弁、子葉等の細かい処理・表現にそれぞれの地域で独自の特徴を生み出されていく過程は、飛鳥寺を起源とする素弁瓦当の変換と変わりないものです。 この他、筑紫の地では、塔原廃寺(福岡県筑紫野市歴史博物館)から、山田寺式と思われる紋様の瓦当が出土しています。推定できる創建年代等から、蘇我倉山田石川麻呂の謀反事件に関わった蘇我日向(身刺)が創建に関わったとする説もあるようです。 山田寺式の伝播・発展には、古代の官道や官人の移動、豪族との関わりなど様々な理由が考えられます。そちらの方面からは、おいおいと言うことで。(^_^;) |
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